2026年5月
春は殺しの季節!「殺し殺され♡物騒ムービー」特集
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▶ 今月のお題
・ エイペックス・プレデター
・ サンキュー、チャック
・ ひつじ探偵団
・ ゼイ・ウィル・キル・ユー
エイペックス・プレデター
2026年/アメリカ/95分 4月24日配信(Netflix)
監督:バルタザール・コルマウクル
出演:シャーリーズ・セロン、タロン・エジャトン
▶ 公式サイト
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オーストラリアの大自然の中で、ひとりビバークしてカヤックに挑戦するサシャ。ある事故が原因で深い悲しみと喪失感を抱えていた彼女だが、突如「捕食者(プレデター)」の人間狩りに巻き込まれる。さとうかずみ ★★☆☆☆
Isla ★★☆☆☆
サイコパスの人間狩りというB級感漂うプロットだが、主演二人の演技力で十分に持たせている。今やこの塩梅の映画はNetflix頼みだ。特にシャーリーズ・セロンの体を張ったアクションは流石の一言。ただ監督の興味がスリラー演出よりも自然描写に向いているせいか、緊張感は薄い。ロッククライミングに帰着する展開はよかったが、もっと襲ったり襲われたり、サバイバル知識を活かしたスリリングな攻防戦を観たかった。
榎本志津子 ★★☆☆☆
主人公は悲劇的な事故で心に傷を負った女性冒険家。とはいえ、演じるのがシャーリーズ・フュリオサ大隊長・セロンなので絶大な安心感がある。そんな大隊長でも旅先で変な男たちに絡まれるのはお嫌ですよね……と思っていると、ピチピチと活きのいいタロン・エジャトンが登場しすべてをかっさらう。森の中を駆けるタロン、奇声をあげるタロン、水浴びをするタロンの尻……! 大自然ってスゲー!筋肉もスゲー!あと尻!という1本。
奥浜レイラ ★★☆☆☆
タロンの芝居がクレイジーガイのステレオタイプに寄りすぎでは?と眉をひそめたが、シャーリーズ・セロンの成熟したタフネスに対抗するにはこれくらい過多じゃないと負けちゃうのかも。あざとく差し込まれる全裸ターザンロープなども食傷。冒頭、足がすくむ断崖絶壁の画力に映画館で観させてとよぎったけれど、途中から「今だ!」とプロレス観戦中のような声が出ていたので家で良かった。ケミカル・ブラザーズの使い方には笑った。
Taul ★★☆☆☆
ビートルズの「Don’t Bother Me」みたいな「私を放っておいて」な主人公が人間狩りに遭遇する。Netflix作品らしい格好の時間潰し映画だが、アクションが臨場感に欠けるのは致命的だ。コルマウクル監督は『エベレスト 3D』などVFXによる演出が得意だが、本作は雑な使い方が多く、自然や役者の「リアルさ」を薄めてしまう。AI映像が普及した今、「いかにも合成」な作りはフェイクだと感じやすい。面倒だがそういう時代になった。
マリオン ★★☆☆☆
冒頭の「事故」は遭難や自然の脅威を描いた映画を多く手がけるバルタザール・コルマウクルらしい迫力のあるシーンになっていて見応えたっぷり。ただ、スリリングな駆け引きはあまり捻りがなく、サバイバル術を活かした展開も少なめでよくも悪くも普通のアクション映画ではある。一方、タロン・エジャトンのねちっこいサイコパス演技は根っからの明るいイメージを覆していて見事だった。演技力の幅が垣間見える映画はやっぱりいい。
村山章 ★★☆☆☆
コレ、いつの劇伴よ?と首を傾げずにはいられない音楽に象徴されるように、まあ凡庸な映画だとは思います。殺人鬼の人物造形や演技もかなり気恥ずかしいもので、こりゃ困ったなあと思っていたのだが、通り一遍のチェイスや対決をやり終えた辺りで「あれ?そゆこと?」と軽く前のめりになったりした。とはいえ面白くなりそうなトンデモ展開もすぐ終わってしまったが、最後まで観て、こういう狙いのお話だったのねと納得はしました。
サンキュー、チャック
2024年/アメリカ/111分 5月1日公開
監督:マイク・フラナガン
出演:トム・ヒドルストン、キウェテル・イジョフォー
▶ 公式サイト
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地球規模で大災害が起こり、ネットや電話もつながらなくなった世界で、奇妙な看板が街中に掲げられる……。スティーブン・キングの原作を『ドクター・スリープ』も手がけたマイク・フラナガンが映画化。さとうかずみ ★★★★★
Isla ★★★☆☆
「この瞬間があるならば、人生は素晴らしい」と思える幸せ。白眉のダンスシーンや不気味で美しい世界の終わりなど見所は多い。特に序盤の、中心であり空白なチャックという人物をトム・ヒドルストンの存在感で埋める「スターの正しい使い方」が見事だ。しかし、どこか物足りない。余命を迎える人物の回顧録や人生賛歌としては大いに素晴らしいが、綺麗に整い過ぎて響かないのは、私の見方が拗らせすぎているのだろうか。
榎本志津子 ★★★★★
壊れてもなおることのない世界で、不安を抱えながら、隣にいる自分以外の誰かと何かを分かち合うために手を伸ばす。偶然の出会い、誰かと交わした会話、大切な言葉、ダンス……降る雨のしずくのようにきらめいて落ちる人生の無数の一瞬を、ほんの少しの怖さと哀しみと、たくさんの愛で綴った物語。最近のキング原作の映画の中でも最高of最高。サンキュー、世界!サンキュー、フラナガン!とやさしい気持ちが満ち溢れてくる1本。
奥浜レイラ ★★★★☆
序盤で読まれるウォルト・ホイットマンの「Song of Myself」が物語をつらぬく。人間はどんな人でも矛盾していて、完璧でなく、私たちの中には何人もの人がいる。インナーユニバースに表出した幻想のようにも思える感謝を伝える看板は、チャックという“一般的な”男性の姿を借りた市井の人々のメタファーにも感じられる。第3幕から始まる構成だが、奇をてらったというよりも観客が好きな軌道を描けるような作りとして受けとった。
Taul ★★☆☆☆
ビートルズの「Within You Without You」や、手塚治虫、村上春樹らの作品にある「内なる世界の感覚」が子どもの頃から好きで、映画でどう表現されるかを追ってきた身としては、本作は2回観たが、どうしても物足りない。原作小説に忠実だが面白味に欠ける解説映像のようだし、感傷的なダンスや余命に頼ったよくある人生賛歌どまりだった。もっと映画としての新しい挑戦が観たい。10代の頃なら感動してただろうが……ちと悲しい。
マリオン ★★★★☆
チャックが路上でダンスをするシーンが忘れられない。さまざまな偶然と人生が重なり、知らない誰かと繋がれたような瞬間が訪れる。なんて豊かな時間なのだろう。そうした時間が人生の中で愛おしい瞬間になるだろうし、人の数だけ美しいモーメントがある。そして、一人ひとりの存在はまるで星のようで、世界は無数の星々を束ねる宇宙のようにも思えてくる。小さな世界が大きく見える物語に、僕はこれからも感動するのだろう。
村山章 ★★★★★
トリッキーな三部構成でもさほどややこしくはないのでわりと早めにネタは読める。美しい落としどころだとも思うが斬新さに驚かされたりはしない。むしろ本作は誰もが腹落ちする普遍的なメッセージを、どこまで丁寧に、真摯に、面白おかしく描けるかという見せ方の妙にある。序盤の終末感、中盤の多幸感がみごとに的中していて、終盤とも安心して向き合える。役者もみんないいが、隣人役のマシュー・リラードが醸す諦念が沁みる。
ひつじ探偵団
2026年/アメリカ、イギリス/109分 5月8日公開
監督:カイル・バルダ
出演:ヒュー・ジャックマン、エマ・トンプソン
▶ 公式サイト
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イギリスの田舎町で愛情深く羊を育てるジョージは、毎晩羊たちに推理小説を読み聞かせていた。しかし、ある日死体となって発見される。ジョージの読み聞かせで推理力を身につけた羊たちは、彼の死の真相を突き止めようと奔走するが……。さとうかずみ ★★★★☆
Isla ★★★★☆
本当に羊が推理する、しかし正統派ミステリーで驚いた。3つ数えれば忘れ、はみ出し者を蔑み、一歩踏み出すことを恐れる羊は私たちの暗喩だろう。そんな彼らの成長譚が殺人事件と並行して展開する、とてもよく出来た映画だった。犯人特定の真相に無理があると思った所はあれど、伏線はちゃんと張られていた。世の中には絶対に忘れてはいけない、思考を止めてはいけないものがある。人間もまた「考える葦」ならぬ「考える羊」なのだ。
榎本志津子 ★★★☆☆
「1……2の……ポカン!」は、ポケモンゲームで新しく技を覚えさせるために必要な、古い技を忘れさせる動作なのだけど、まさか英国田舎町のひつじたちも自ら同じことをしていたとは。つらく耐えられない出来事が起こるたびに3つ数えてすべてを忘れるひつじたちは、日々アホみたいな情報に流され、群れ、踊り踊らされ、3日で忘れる人間の姿を見るようで、もふもふキュートな謎解きなんかどうでもよくなるほど恐ろしい1本。
奥浜レイラ ★★★☆☆
『ベイブ』×『ナイブズ・アウト』をアマチュアひつじ探偵でやりたいというリファレンスは分かりやすく、真新しさのないもふもふのキュートさに頼った作品だったらどうしようと、“あざとかわいい”に辛めの自分はやや心配したが杞憂だった。犯人の染髪うんぬんには無理があるものの「これおかしくない?」を踏み抜かない、次々と展開するストーリーテリングに説得された節はある。終盤、劇伴で感動を強要されたと感じてやや萎えた。
Taul ★★★★☆
ビートルズの「Good Morning Good Morning」には動物の鳴き声が登場するが、羊は肉食獣に捕食される扱い。そんな、か弱い羊たちが殺人事件の謎に挑む変な話だが、これが違和感なく楽しめた。クリスティ型ミステリーとマザーグース風の寓話の趣向が、舞台の英国に合う。古典的な探偵ものの「推理する者」と「行動する者」の構造を、羊と人で分担し合うのも見事だ。忘却の切ないエピソードもぬかりなく、いやはや、うメェ~出来だ。
マリオン ★★★★☆
出オチのような設定だが、古典的なミステリーをしっかり現代らしくアレンジしていて素晴らしい。しかも、結構泣かせる話じゃないの。牧場しか知らなかった羊たちは優しい羊飼いの死をきっかけに広い世界を知る。辛いことは3カウントで忘れていたけど、本当に大切なことに向き合うことを覚えていく。そして、事件の真相に近づくうちに優しさも芽生える。おバカな映画かと思ったのに、めっちゃ感動させられてしまったよ。
村山章 ★★★☆☆
ヒュー・ジャックマンは非常に使い方が難しい役者で、生来の面白味のなさが過剰にマジメな役だと効いてくる。成功例と思うのは『ニューヨークの恋人』『プリズナーズ』『チャッピー』。ウルヴァリンはもはやジャックマンとイコールなので別枠かなと思っているが、今回はマジメに羊と語らうヘンなオジサン役で、ジャックマンらしさが存分に活かされている。序盤で亡くなって実は生きてましたみたいな展開もない潔さも好感が持てる。
ゼイ・ウィル・キル・ユー
2026年/アメリカ/94分/R15+ 5月8日公開
監督:キリル・ソコロフ
出演:ザジー・ビーツ、パトリシア・アークエット
▶ 公式サイト
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誰もが憧れる高級マンション「バージル」。しかし、じつは毎月ひとりのメイドを生贄に捧げる悪魔崇拝者の巣窟だった。今夜もまた、ひとりの新人メイドが生贄に捧げられるはずだったが、思わぬ反撃がはじまり――⁉さとうかずみ ★★★☆☆
Isla ★★★☆☆
期待以上のクオリティ。予告でマルフォイが簡単にやられていたが、成程そういう設定ね。悪魔崇拝カルト教団と超強腕メイドの対決なんて映画だ。ちゃんとバカやってていい。オマージュ満載のアクションに新しさはないが、ちゃんと見せたいものが明確で楽しい。製作陣を応援したくなる愛嬌がある一本。主人公は一応痛がるという禊さえ済ませれば、何食わぬ顔で戦い続けられるシュールなタフさに思わず笑ってしまった。
榎本志津子 ★★★☆☆
悪魔崇拝会場の超高級マンションを舞台に、生贄になるはずだった元女囚の身体能力鬼メイドが、バンバン反撃!倍返し!という単純ストーリー。次々くり広げられる「これをこうしたらカッコよくね?」というアクションとカメラワークに、作っている側のノリと楽しさがあふれ出ていて、はじける若さに目が眩む。正直、ずっと続く若者ノリに食傷気味にもなるのだけど、それでもいい。「なんかがんばれ!」と声援を送りたくなる1本。
奥浜レイラ ★★★☆☆
『アンテベラム』『ジョン・ウィック』『プラットフォーム』にタランティーノと悪魔崇拝を乗っけて、とかけ算をしまくった結果味が薄まったように感じた。なんでもありな蘇り設定とラスボスの描き方にノレなかったからかも。階層ごとに役割をもつマンションの特性を使って不老不死の退屈さとそれでも求める強欲さをもう少し深堀するとか、現実の社会構造と重ねて描いたらもっと出汁が効いたのか?生意気ですみません。タイトルの出し方で加点。
Taul ★★☆☆☆
ビートルズの「Piggies」では、腐敗した人間を豚に見立て「奴らを叩きのめせ!」と歌われる。本作はそんな容赦ないバイオレンス映画で、タランティーノや流血ホラーへの愛が伝わる序盤は興味を惹かれたが、キャラ、表現、展開とも、そこまで弾けず失速。独自のアイデンティティを築くよりも、影響元のオマージュにとどまっている印象すら受けた。新鋭のソコロフ監督は光る描写もあっただけに、次は何か個性的な「売り」が欲しい。
マリオン ★★★☆☆
悪魔崇拝者軍団とメイド(武闘派)の血みどろバトル。キレッキレのカメラワークやバイオレンスなアクションは終始テンションが高く、展開も最後まで予測不能でスクリーンに釘付けになった。芋虫みたいに動く目玉や豚の頭の悪魔とか馬鹿みたいな絵面を大真面目にやり切っていて本当に楽しい。あと、敵も主人公もめっちゃ痛がるのもなんか人間味が感じられて好き。94分という尺感もバッチリで、よくできたB級映画であった。
村山章 ★★★☆☆
ビデオゲーム感の強いバイオレンスアクションがひたすら続く94分。ザジー・ビーツの頑張りを無の気持ちでただただ眺めていた。もちろんこの機会を待ちわびていました!とばかりに溜め込んだアイデアをイッキ出しするヤンチャっぷりや、若手を支えるベテラン勢の熱演も微笑ましい。やりたい放題にやってこその企画だし、今後もがんばってとも思うけれど、いま面白がれるほどの奥行きはないのよ。人間の人生には限りがあるんでね。


観る前の予想を覆したり覆してこなかったりする4本で面白かったです。星の付け方はやっぱり難しいですね。B級映画の星3と大作映画の星3は違う気がする…
あーーグローグーかわいいかわいいグローグーかわいい。え?グローグーってかわいくない?ヤバ……それにしてもグローグーがかわいくて(なお現時点でドラマも映画も未見)
コロナ禍で始めて10回保たずにやめた個人のPodcastを再開しようとマイクを買い直したのですが、早くも1ヶ月放置。タイトルも決まらない。

はちみつとレモンをお湯に入れて冷ましたものを飲んでますが調子がいいみたい。ビートルズに絡めたレビュー、続けています♪
※今月の曲のプレイリストへのリンクはこちら↓
東京で映画BARを開催し、Podcast WeekendというイベントでZINEを販売しました。超楽しかったのですが、のどを痛めてしまいました。体調管理、大事やね。
文フリ東京で買った山田集佳さんの「ガンダムもプロレスもあるフェミニズム映画評論集」3冊がキレッキレで刺激的。こりゃ面白いよ。
メールアドレスの登録で最新号が届きます。次号のお題は『マテリアリスト 結婚の条件』『シラート』『エレノアってグレイト。』『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』を予定!!

















